次世代高耐久木材 Wolesty Moca/ウォレスティ モカ

高耐久で高い寸法安定性

内外装材

『Wolesty Moca』

ウォレスティ モカ

おしらせ


Wolesty Mocaとは?


地球環境を考え 自然の恵みを活かした

持続可能な木材を使う贅沢を・・・



信州産カラマツとアカマツを

過熱水蒸気と圧力のバランスにより

ノンケミカルで耐久性・寸法安定性を高めた

次世代の木材です。

 

 

特徴

信州カラマツの美しい木目と強度

 信州カラマツは日本の代表的な他の針葉樹である杉や桧より強度があり、木目がはっきりしている特徴があります。 しかし、信州カラマツは強度があるもののネジレも強く、使いづらいのが長年の課題でした。
 今回の開発により、強度と美しい木目はそのままに。 熱だけで信州カラマツの寸法・形状の安定性や耐久性を高め、どこにでもお使い頂ける木材へと改良できました。

ノンケミカル

 Wolesty Mocaは、圧力をコントロールできる窯の中で過熱水蒸気を用い、化学物質・石油物質を全く使わずに処理を行うことで環境にも優しい製品です。
 木材中のヘミセルロースは水と結びやすく、それにより反り・腐れ・カビなどが発生します。 そこで、このヘミセルロースを選択的に熱によって化学変化させることにより木材に水が取り込まれにくくなり、これらの欠点を 長期間に渡って寄せ付けません。

高耐久性

 木材が腐る現象は腐朽菌が木材の成分を分解することで 起こります。この腐朽菌の活動には水が必要で、木材の含水率が28%以上(FSP=繊維飽和点)になることで起こります。
  Wolesty Mocaは熱処理により木材成分であるヘミセルロースを化学的に変化させることにより、木材に水分が取り込みにくくなることで含水率が高くならず、ずっと腐れを予防できます。

芯まで着色

 針葉樹は仮導管という水を運ぶ繊維細胞の束によって出来ています。 防腐剤や塗料などはこの木材繊維に薬剤などを染み込ませることによって処理を行います。 しかし、木材細胞に薬剤などを芯まで染み込ませることは困難です。
 そこで芯まで届く熱処理によって全体はほんのりと茶色に変化し、芯まで着色されているので木口塗装(タッチアップ)も不要です。 コーヒーを焙煎するように丁寧に加工した木材で、生活に彩りをお届けします。

高い寸法安定性

 一般に流通している木材は人工乾燥窯によって含水率を20%以下にして販売されていますが、実際に用いる際には10~25%の範囲で含水率が変化してしまうため、これにより伸縮・反り・割れが起きます。
 熱処理により化学変化させたWolesty Mocaは、空気中の水分を取り込む水分変化が起こりづらく、寸法精度が高いのが特徴です。

信州産へのこだわり

 長野県は森林面積で北海道・岩手に次ぐ全国第3位、森林率で全国第4位。

しかし、素材の生産量は全国第17位と森林県でありながら木材県ではありません。

 全国ではスギ・ヒノキの森林が半数以上なのに対して、長野県ではカラマツ・アカマツが半数以上と森の様子も違いますが、ここは差別化にとって大切な要素。

 長野県の森は年々樹高も樹径も太くなっており、10年間で15%程度増えていますが、素材の生産は10年で15%減っています。 現在毎年増える成長量に対して間伐でさえ30%、成長量に対して生産量は10%程度。


 森は適切に植え、手入れをし、成長量の範囲で使い、生産された木材が長い年月利用されることで地上でCO2を固定化します。 このサイクルが崩れると、売れないから売らない・手入れをしない、手入れをしないから水害が起きて獣が街に出てくる、木材は更に売れない、石油を買って温暖化するといった悪循環に陥ります。

 他県には他県の木材や森林の問題がありますが、長野県の森林は長野県民が手入れして、長野県民が利用しなくてはいけません。 また長野県にはカラマツやアカマツという他県にはない貴重な素材がありますので、積極的に活用できます。


 またベトナムなど東南アジアの亜熱帯地域では針葉樹が有りません。亜熱帯は日本以上に耐久性が要求されますので、付加価値を高めた日本産材が利用できます。 これからは地域で育った木材が当たり前に地域で使われる世の中が来ることを願い、目指していきたいと考えています。


カラマツの歴史

 日本のカラマツは日本固有の樹種で日本の寒冷地に自生していました。長野県が育苗技術によって人工の苗を生産できたことを受けて、長野県以外でも北海道や岩手に出荷されました。

 カラマツは病気に強く早く20cm径級になることから人気があり、スギが温暖な地を好むのに対し、落葉し耐寒性のあるカラマツは東日本で好まれました。 当時は電柱や地中杭、枕木などの土木需要が旺盛で、耐久性が強く真っ直ぐに伸びるカラマツはうってつけでした。しかし、回旋木理が強いカラマツは製材乾燥するとネジレが出て、ヤニ分も多いため建築製材には不向きで、土木需要もコンクリートに置き換えられ、建築に不向きなカラマツは行き場を失いました。

 長野県の人工林の半分以上を占めるカラマツの利活用に対して長野県林務部は努力をし、高温セット乾燥を開発し、カラマツやスギなどの乾燥技術向上・利活用の場を広げるのに役立ちました。

 人口減と住宅着工減を受けて素材生産量は減っている中、戦前に植えたカラマツが60年以上の高齢級となって長野県の山に多く存在します。 高齢級はかつて問題となった若齢級の細い丸太と異なり、ネジレ要素が抑え込まれた成熟した材料で、節も少なくカラマツ独特の濃淡のある木目が引き立ちます。カラマツは高齢級になると芯部が腐る「心腐れ」が発生し、これが起こると建築材としての価値はなくなることから、この素晴らしい材料を国内外に多く使ってもらえる開発が求められます。


 Wolesty Mocaは、長野県林業総合センターが歴史の中で生み出した技術を元に、耐久性と寸法安定性を与えることの出来る素晴らしい技術です。


開発の歴史

開発のきっかけ

当社が平成元年に木材事業を開始してから、「安心・安全でより長持ちし確実な処理ができる保存方法は?」という問いを抱き続け、常に進化させてきました。

しかし既存処理方法ある水溶性薬剤処理は耐久性と価格は申し分ないものの、化学処理への抵抗感、処理後の寸法安定性などに課題を抱えていました。

2017年に経産省「地域資源開発事業」に採択されてから、本格的に開発がスタートしました。


研究・実験

熱処理技術は歴史が長いものの、国産の主要4樹種の全てで実験を行った論文を見つけることが出来ませんでした。

そこで4樹種「スギ、ヒノキ、カラマツ、アカマツ」全てを熱処理し、特に長野県を代表するカラマツ・アカマツの2樹種を 耐久性・寸法安定性・曲げヤング強度・表面強度・色差などの試験をしました。


苦労したこと

熱処理において国内で一番蓄積量の多いスギについては知見が沢山ありました。
そのスギは耐久性・寸法安定性は良かったものの、熱劣化しており当社が目指す強度を得ることが難しく、無垢では強い耐久性を誇るヒノキが熱処理すると当社が目指す耐久性が出ず、苦労しました。

長野県に多いカラマツ・アカマツは耐久性・強度をクリアしましたが、寸法安定性や独特の色味など、まだまだ研究しなくてはいけないことが沢山あります。


名前の由来

既存商品の水溶性薬剤はデータによりその低毒性は証明できるのですが、見た目の要素から説明が必要な原材料でした。
海洋プラスチック問題や温暖化など、国連のSDGsで提唱されているように我々が正しい選択をすることが求められています。
元々持続可能なマテリアルである木材を地元で使う意義。

Wood of Leisure and Sustainabilityから取った造語です。

Mocaは熱処理によりこんがりコーヒー色に変化したこの木材が住まいのレジャーとして彩って欲しいと願いを込めて名付けました。


Wolesty Mocaへの思い

カラマツは長野県の人工林の中で一番の蓄積量があり信州の景色の一部ですが、土木の需要が旺盛だった時代から、現在ではコンクリートに代替えされ、強い半面ネジレや反りが強いことから建築からも敬遠され、なかなか活用の場が有りません。

アカマツもマツクイ被害などが進行し、青変菌で変色したり耐久性が弱かったり色々課題がありました。

今回の開発でこれらカラマツ、アカマツがスギ、ヒノキに勝る性能を出せたことによって、長野県は宝の山となることを地域の林業関係者と語り合えて嬉しかったです。


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製造工程

1

信州産カラマツ・アカマツ板材を用意

 設備的ボトルネックである改質釜を最大限運転させるために、当社では長野県でこだわりの木材を製造する仲間から各地の信州産カラマツ・アカマツを受け入れます。成熟部分から節や目通りなどが適切に産出できるのは、板物と角物(柱・桁)をどう切り出すか熟知した製材所の腕の見せ所です。


2

桟積み

 改質機に投入する前に、材料をアルミ桟で挟み、綺麗に桟積みします。この作業を怠ると良い製品はできません。桟積みした材料の上に重しを載せて改質機に入れます。


3

熱処理(改質処理)

細かな圧力や温度などの条件は企業秘密。当方の改質機は「過熱水蒸気」を用います。過熱水蒸気とは?家電メーカーからオーブンレンジで発売されている「あれ」です。家電の小さい容器ならともかく、木材が入る大きな釜で出来るのは、世界広しと言えど日本のお家芸です。この中で圧力と温度をコントロールし、200℃以上で木材を1週間ほど焙煎します。


4

モルダー処理

 市販の木材は含水率20%程度ですが、熱処理材は5%位で処理完了です。含水率が更に落ちていることから、投入時よりも寸法が一回り小さくなっています。その後、モルダーという成形鉋でツルツルにして出来上がりです。


期待の声

山の辺建築設計事務所
宮坂様

 個人的にはアカマツの見た目があまり好きではないが、熱処理することで樹種が分かりづらくなるので特にアカマツにとても期待している。
カビが生えずらく、きれいなグレーになるのが楽しみ。 どんなものでもメンテナンスは必要だが、外壁に木を使うことで張り替えしやすく、県産材を使ったお金に代えられない豊かさを提供していきたい。
 また、合理性を求めすぎた結果 現在の山の状況は良くない。
みんなが使うから使うのではなく「木を使う」ということをいま一度考え直したい。
 Wolesty Mocaで長野に溢れている カラマツ・アカマツを有効利用し、まずは長野からその良さを広めていけることが楽しみ。


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施工事例

桐原建設 桐原様

日光による影響は今のところほとんど感じません。
反りやねじれは全くないと言っても良いかもしれません。巾の伸び縮みもなく、新たに割れが出た部分もないように感じます。

SATO建築工房様

都心部で活躍する「キッチンカー」の外壁・窓枠に採用。

美容室 scissors home 様

Wolesty Mocaの試作品を使い、オーナー自らDIY。
3年程が経ち、ヴィンテージ感溢れる素敵な雰囲気を醸し出しています。


FAQ

Q.どんな樹種でも改質できますか?

200℃以上で改質できると考えていましたが、実験してみると樹種毎に色々性質が異なります。

今現在分かっていることは、長野県ではスギ・ヒノキより、カラマツが相性が良いということです。

アカマツも寸法安定性が僅か未達成ですが、とても良い性能を有しています。広葉樹などは未確認です。


Q.塗装はできますか?

一般的な熱処理がpHが酸性であるのに対して、Wolesty Mocaは中性に仕上がります。

酸素による劣化が少ない証拠ですが、ヘミセルロースが熱によって変質しており 強度は弱くなってきています。

塗装は出来ますが、耐候性が低い可能性があります。無塗装でカビづらいWolesty Mocaの自然な風合いをお楽しみ頂ければと思います。


Q.構造材も処理できますか?

Wolesty Mocaは熱処理によってヘミセルロースを化学的に変化させています。

ヘミセルロースが変質することによって木材の靭性が弱くなっていますので構造材での使用は不向きです。


Q.反りや曲がりは全く無いですか?

ヘミセルロースの変質により水分を木材に取り込みにくくなっており、水分や湿度変化に伴う曲げ・反り・割れは起こりにくい素材です。

芯持材を改質処理した後に帯鋸で割っても開いてきたりしません。

改質工程前(木材内部の曲げ応力の除去前)に割れたり反ったりしている材料を真っ直ぐにすることは出来ません。


Q.匂いは気になりませんか?

他の熱処理木材は酸性であることが多く、アセチル化木材も酸の匂いを感じる方が多く居ます。

Wolesty Mocaは酸素を脱気し熱処理しており中性に仕上がっているため、特有の匂いは感じにくいと言えます。

他の熱処理木材に比べ表面強度の劣化が少ないことも含めて、室内から屋外まで同じ樹種で同じ色調でコーディネイトが可能です。


Q.納期はどの位?

現在は受注生産で納入させて頂いております。

在庫数にもよりますが、2ヶ月以上の工程が必要となりますので、ご理解のほど宜しくお願い致します。


Q.カラマツ材での注意点は?

カラマツは落葉する珍しい針葉樹で、夏目/冬目の年輪界での密度変化が急激なため木目の剥離が木裏で顕著に起こります。木表で絶対に起こらないものでは有りません。

デッキで使用する場合は木目剥離のトゲにご注意ください。

アカマツはカラマツほど剥離が起こりにくい特徴があります。


Q.外壁に使用するための注意は?

Wolesty Mocaは天然の無垢材ですので、節が存在しますのでご注意ください。

カラマツの冬目が濃い茶色になり、他の樹種に比べて退色が緩慢ですが、いづれ灰褐色化(シルバーグレイ)になります。

施工は下穴を開けて、ステンレスビス・釘で確実に留め付けてください。


Q.家具製作などでホゾ加工など出来ますか?

カラマツ・アカマツなどのヘミセルロースを化学的に変質させており、高耐久で寸法安定性も良いですが、木材本来の靭性が落ちています。

ノミ加工などのキレが悪い可能性があります。

また、ホゾのように部分的に力の掛かる部位では弱点になる可能性があります。

切断や穿孔は問題有りません。


Q.シロアリは食べますか?

当社での耐蟻試験では、食害されました。

接地での使用は避けて、非設置での仕様をおすすめします。


Q.釘やビスでの接合強度は?

ヘミセルロースの変質により靭性が落ちていますが、通常の材料のように下穴を開けないと割れやすい状況は発生しにくいです。(保証は出来かねますので、心配な場合は下穴を開けてください)

ビスは止まりますが、釘もビスも打ち込みすぎには注意してください。

寸法変化は起こりづらいため接合の変化はしにくいですが、粘りがないのでめり込みます。


Q.羽目板形状は?

多くの形状がございますので、サンプルでお確かめください。

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実験の様子

耐朽性試験

樹種

カラマツ、アカマツ

方法

JIS K 1571:2010 の防腐性能の室内試験を参考

結果

JIS K 1571に定められている防腐性能の基準は3.0%以下。

中温乾燥材は3.0%以上。
熱処理材は3.0%以下質量減少した。

寸法安定性試験

樹種

カラマツ、アカマツ

方法

AQ認証 K-1の寸法安定性試験を参考
浸水前後の寸法より膨潤率を計算

結果

カラマツの中温乾燥材は0.9%、熱処理材は0.3%。
アカマツの中温乾燥材は2.1%、熱処理材は0.4%とカラマツは1/3程度、アカマツは1/5程度熱処理によって膨張率が低い値になった。

色の経年変化

樹種

カラマツ、アカマツ

方法

中温乾燥材と熱処理材を使用
幅-厚-長さが100-30-200mmの試験体を地面に対して水平に置き、太陽光(南側)および雨風が当たる屋外に設置。


比較

海外(北欧)熱処理木材

高熱温度下で熱処理することでヘミセルロースを 化学的に変質させる。 処理空気に酸素が存在するため表面木材繊維が酸化し 表面強度が弱くなる

海外(中欧)アセチル化木材

木材の水酸基をアセチル基にすることで、 木材が水分を取り込まなくする。 酢酸を木材に注入処理するため、注入性が良い樹種で 処理することが必要。ラジアタパインが相性が良い。 国内樹種は注入性が悪いため相性が悪い。

国内熱処理木材

窒素下で高熱処理を行う、木材の発色が弱い。

国内樹脂注入木材

石油由来のフェノールフォームを低分子化して木材に 注入することで、耐久性・寸法安定性・強度を高める。 国産樹種では芯まで注入することは困難。

一般的なプラスチック擬木

木粉と石油由来のプラスチックを混合して整形する。 木粉量が多いほど耐久性などが悪くなる傾向で、 プラスチック含有量が多くなるか、全てプラスチックで 木材のような色合いで整形する。 擬木であり、無垢の木ではない。 プラスチックの性質が多く出て、収縮が激しい。 成形の関係で中空の物が多く、傘などで突くと割れる。 真四角のデッキなど現場の加工性が悪い。 廃棄時はプラスチックの処理が必要。

高級ウレタン擬木

石油由来の樹脂で木材の様な転写がされており、 強度を上げるために鋼製の芯材が入っている。 無垢ではないため、傷が付くとメンテナンスが大変。 廃棄時の分別は不可能。現場の加工性は低い。


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製造元:モカウッドジャパン株式会社